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今週は日曜日から火曜日を除いて昼も夜も予定を実行したので、消灯時間がシンデレラタイムを過ぎる連日となった。昨夜も午後7時からのコンサートに出掛け、9時半ごろから馴染みのスナックに久し振りで寄ってから帰宅したので11時頃になった。 コンサートは打楽器奏者の初の個人リサイタルで、彼の素養の確かさを追認できたコンサートであった。彼は市立芸大音楽学部の大学院2回生で、私が意識して見るようになったのは彼の大学2回生の頃だったと思う。 学内での打楽器専攻生だけのコンサートも案内が来れば必ず聴きに行っていたが、何か光るものを感じていた。管・打楽器とのジョイントコンサートでも、オーケストラのコンサートでも学外でのコンサートでも、彼の存在は一味違って耳目に残ってきた。 日常の演奏行動や練習状況は知る由もないが、パーカッション・パートのリーダーとして位置づけられている事は、コンサート会場で見ていても何となく伝わってくる。その彼の写真付きチラシの案内状が8月頃に届いた。 芸大講堂で開催される学内コンサートは欠かさず聴きに行っていた時期もある。菅楽、弦楽、打楽、声楽のパートコンサートであっても、オーケストラであっても、オペラであっても、芸大の“音”を楽しませてもらって来た。 ほとんど感想を記入するアンケート用紙がプログラムに付いているが、私は真面目に記してきた。専門的な評は書ける筈はないので、その時に感じた事を素直に書いてきた。その内に学内外でのコンサート情報の案内が音楽学部から送付されるようになり、新聞からの情報を探さなくて済むようになった。 中でも打楽器専攻生からはアンケートに対して丁寧な礼状が届き、一層ファン心理なるものが大きくなった様な気がする。打楽器への関心は新しい事だが、こんなきっかけから始まった。 運動リハビリだけでなく講演会や映画・音楽といったジャンルにも行動を広げ出した時に、音楽という過去の体験からの馴染み易さでコンサート情報を集め出した時に、大学・高校のブラスバンド演奏会が比較的多く目に止まった。 ある大学のブラスバンドコンサートに行った時の編成にティンパニーが入っていた事に驚きを隠せなかった。何でクラシック演奏会に使うものが編成に入っているのかと。社会人となって随分長く音楽と縁がなくなり、学生の演奏活動なども興味の外である。 演奏が始まり大太鼓とは違い音程のある小気味よいリズムと音色に、ブラスバンド全体の格が上がったような印象を持った。思えば「運命」の第4楽章の終盤のティンパニーの連打と重ね合わせていたのかも知れない。 ブラスバンドのコンサート行きは暫く続いたが、どの楽団でもティンパニーが存在する事も遅まきながら認識できた。この当時のアンケートには「ティンパニーがあるから曲が生きる。ティンパニーは主役である」といった事を書いていた様に覚えている。 これは西洋楽器の打楽器という捉え方ではなく、あくまでも打楽器という原始的な観点からの感動を感じたからに他ならない。理屈ではなく伝達や心身を鼓舞するための道具として使われだした太鼓は、人間の本能の何処かにしっかり組み込まれていると思っている。 日本の祭りで当たり前に見る火、炎や太鼓の音で気分を高揚さすのは、組み込まれたものを蘇らせるからに違いない。そういう音の一つとして洗練されたティンパニーがあるのだろう。私が大鼓の音に惹かれるのも同じ様な理由と思っている。 西洋音楽のパーカッション・パートは多種多様な楽器を受け持つ。メロディーで完全に独立するのはマリンバ(木琴の親玉みたいなもの)で、激しさよりも優しさを奏でる。この極端な表現も打楽器専攻は担う。 彼の演奏活動を継続して目にし、耳にしてきた私としては是非、リサイタルを見ておきたいと思い、パソコン予定に登録しておいた。その到来である。会場はバロックザール(青山音楽記念館)で、私の行動範囲では少し不便なアクセス環境である。 これは無料で移動しようとする発想で、阪急電車を利用すれば桂駅から嵐山線でひと駅目、上桂駅で下車して5,6分歩いた場所だから不便とは言わないのだが、私の無料アプローチルートは市バスで遠回りとなる。 この音楽ホールは200席という規模なので若手音楽家の育成目的で造られたと聞く。今までに5,6回行っているが、今回は久しぶりである。 “財団法人青山財団(以下「財団」という)は、音楽を志す人々の活動を支援するため、財団が所有する青山音楽記念館を使用し、条件を満たした演奏会を開催される方にホール使用料の約3分の2を助成します。” この助成条件が「一般前売入場料が2,000円以上であること」となっているが、彼のリサイタルは一般1500円・学生1000円だったので、助成を考慮しなかったコンサートだったのかと邪推する。 7時開演、6時半の開場で6時過ぎに到着したので時間を持て余したが、開演時には満席となったので安心した。大小太鼓の名称までは知らないが、太鼓の演奏から始まった。素晴らしいリズム感とスティック捌きであった。 観客の中には京都市交響楽団の打楽器奏者と弦楽奏者の顔もあった。彼は京響だけでなく、色んなオーケストラとの演奏も経験している。東京にも演奏に出掛けている事を幕間に小耳に挟んだ。しっかり実力を醸成中との印象を持った。 マリンバも華麗な音色で堪能させてくれた。休憩後に舞台に机と椅子を設置しての演奏(?)もユニークであった。手で机を叩き、両足で床を打ち奇声も加えてのパフォーマンスも体全体が楽器という表現であったのだろう。 最後は7種類ほどの太鼓、木魚風、鉦等で、両手にそれぞれ2本のスティックを持っての乱打は圧巻であった。アンコールは彼の写真のチラシが小太鼓を打つ様子であったが、曲目に入っていなかったので、小太鼓の演奏で終了した。 生意気だが彼の成長と今後、京都だけでなく日本の打楽器奏者として研鑽・デビューして貰いたいと願ってホールを出た。彼は安田直己氏、京都市立芸大大学院2回生の打楽器奏者である。きっと著名な管弦楽団で奏者リストに名を連ねると期待は膨らむ一方である。頑張って下さいね。 帰路は阪急電車に乗ったので、9時半過ぎには四条大宮の馴染みのスナックの一人客になっていた。子の立場の親の世話話に終始したが、私の口調のリズムは軽やかだった。これはテクニックではなく体験からのものである。 (10月10日) |
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